2021.06.30

老舗旅館の伝統と格式の高さを演出する山桜一枚板カウンター

神奈川県秦野市にて、100年続く老舗旅館・陣屋様

受付カウンターの改修に伴い、天板を無垢一枚板にされたいとご相談を受け、一枚板のカウンターをご提案させて頂きました。

 

今回、お選びいただいた材は山桜(ヤマザクラ)

 

産地:宮城県

長さ:4200

幅 :750〜1280

厚み:約100    (単位:mm)

山桜としては、長さ、幅全て規格外の大きさを誇る一枚です。

無垢の山桜の一枚板としては日本で最も大きな一枚板で、芯割れや入り皮穴などもなく、とても綺麗な状態です。

 

元々、必要とされていた寸法は、

①長さ3300 X 幅700以上 

②長さ2100 X 幅300以上

と大きく、尚且つ国産材で建具や建材と統一感のある色調をお求めでした。

ケヤキやクスノキは割と大きな寸法の一枚板もありますが、周囲の建具等との色味の統一感に欠けてしまいます。

 

また、通常は幅70〜80cmの山桜が多い中で、これだけ大きな山桜で表面に大きな割れなどのダメージも少ない山桜の一枚板は珍しいということもあり、創業100年以上続く老舗旅館・陣屋様の受付カウンターという貴重な場所へのご提案としては、これほど素晴らしい一枚板は他にないため、山桜にて進めさせて頂きました。

 

カウンターの組み方は様々ありますが、今回は大机と小机の2枚を天板下の台座(什器)と接続して繋ぐ方法を取りました。

 

貴重な一枚板ですので、鋸目をどこから入れるかは非常に難しい判断でしたが、設計士様と相談しながら、木取り(墨付け位置)を確定。

板の反りや割れを避けて目一杯取れる寸法で墨付けしました。

 

板の表面は、真っ直ぐに見えて微妙な反りや捻れが発生しています。

そこで、木取りの次は平面出しするため機械で鉋(カンナ)を掛けて削っていきます。

表面を平らにレベルを整えると全体的に薄くなってしまうため、要所で平らにすべきポイントを細かく確認しながら天板の研磨作業を進めます。

板と鉄板の隙間が、“反り”の深さ

 

山桜は、樺や水目桜と違い、バラ科サクラ属に属しており、本桜とも呼ばれています。

さすがバラ科と呼ばれるだけあって、削っている木屑から非常に良い香りが漂っておりました。

山桜は香りが強いことでも知られているため、燻製などのスモークチップなどにも用いられています。甘く、重厚感のある香りで長時間経った後もしっかりと香りが残っていました。

 

鉋がけが終わり、次は表面をサンドペーパーで磨き上げ、研磨を掛けていきます。

サンドペーパーでの研磨作業では、表面の荒い凹凸やザラザラしている部分を滑し、触り心地と木目の見た目を美しくする狙いがあります。

 

研磨が終わると、細かな割れを塞ぎつつ、割れの中心部まで硬化剤を流し込み割れを埋めていき、裏面に反り止めの金具を装着します。

 

今回、裏面には取り付ける土台(什器)の“受け穴”を座繰り加工しておく必要があるため、反り止め金具取り付けと同じタイミングで寸法出し(墨付け)をします。

座繰り加工の様子
反り留め金具(塗装後)

座繰り加工が完了し、いよいよ塗装に入ります。

受付はご来館のお客様が触れられる部分でもあり、雨の日の対応もあるため、撥水性と耐久性を兼ねたウレタン塗装にて施工いたしました。

粘土が高く、硬さのある塗料を調合して塗装。

 

大机と小机の接地部分は、見た目のデザイン性を元に設計士様よりあえてズラし、段差を作るよう依頼を受けておりましたので、寸法を調整して加工し完成。

土台部分の組子は、秦野市の佐藤建具工房・佐藤様の作品です。

 

洗練された雰囲気が非常に優雅にも感じられ、旅館となった大正時代の終わりから100年以上続く伝統と格式高い空間の受付に相応しい一枚板のカウンターとなりました。

皆様も足を運ばれた際には、ぜひ素晴らしい庭園と施設、そして受付カウンターをご覧いたただければ幸いです。

 

お問合せ:info@graxen.com

お問合せフォーム:コチラ

ページトップへ