ケヤキ一枚板GX02 青島上之山神社の大欅
1992年4月1日に魚沼市指定天然記念物に指定され、2018年6月に倒木の危険性が高まり伐採された樹齢600年の大欅です。
2019年11月の全国銘木展示会にて【農林水産大臣賞】を受賞。
元は、長さ286cm X 幅111~210cm X 厚み33cmの大きな厚盤でしたが、2021年2月に愛知県のヤトミ製材様にて3枚に製材。
3枚の間の一枚です。
木の中央に年輪が位置し、高さ180cmの位置まで真っ直ぐと伸びています。
左は虎杢が渦を巻き、玉杢が側面から伸び、全体の景色に緩やかな落ち着きをもたらしてくれているようです。
対照的に右側は躍動感に溢れる杢目が渦巻き状に動きを見せています。板目の木目は天に向けてゆらゆらと伸びています。
表皮側の瘤が木全体の存在感を示していますが、製材時に落ちぬよう最も神経を使った部分です。
目の細かさは、まるで屋久杉のように緻密で繊細で、同じ板表面の中に大胆さと緻密な気品溢れる美しさの2面性が楽しめる一枚です。
欅特有の黄褐色から橙に色が移ろい始めており、その艶やかさが冬目の濃さをより強くし、堂々とした貫禄のある表情を作り上げています。
上部は138cm、中央で153cm、下部は181cmと、稀に見る大きさを誇る巨樹です。
紛れもなく日本の銘木であり、宝のような存在の大欅。
形は変わりましたが、いまも御神木として護って下さっているような強さを感じます。
逸話や出生地情報は、以下の通りです。
【産地】新潟県魚沼市青島2550(青島教育神社内)
【名称】青島上之山神社の大欅
【樹高】40m
【幹回り】7.1m
【推定樹齢】600年
【記念指定】魚沼市指定天然記念物(1992年4月1日指定)
【受賞歴】全国銘木展示会 農林水産大臣賞受賞(2019年11月14日)
【神社の創立】創立年歴は久遠にして不詳だが、1594年の洪水により近くの山中へ遷した記録があるため、室町時代末期頃と推察される。
【逸話】戦国時代の武将、新田義貞が500人の大軍を率いて露営した際、馬を繋いだと伝承。
【倒木の経緯】樹勢の衰えと共に倒木の危険性が高まったため、魚沼市の許可を得て神社が伐採を決意。2018年11月19日に文化財指定も解除された。
【生木時の形状】幹は高さ4m程の位置で2本に分かれている。
【欅(ケヤキ)について】
伝統と格式を表す、日本の銘木
威厳を感じる素材感、そして直線的に真っ直ぐ伸びる木目からは品格と意志を貫く生き様のようなものを感じます。
経年で飴色に濃くなる木目は、まるで使い慣らした革製品のような愛着が生まれるファンが多い日本の銘木です。
稀に表れる玉杢や鯖杢、如輪杢、瘤杢などといった杢は、見る人を魅了する希少価値があります。
個体差や特徴に応じて、空間に臨機応変に馴染むため、クラシック、モダン、ヴィンテージな洋間から和室や和モダンな空間まで幅広く、室内に調和をもたらしてくれる稀有な存在です。
◆欅(ケヤキ)材の特徴
ケヤキは日本、中国、朝鮮半島が原産地の木材で、日本国内では沖縄県と北海道を除くほぼ全域に分布しています。
国産広葉樹の王様と称され、一番の良材として古くから建築・家具・建具材として寺社仏閣などに大黒柱として重用されてきました。
欅の特徴は強さと美しさを併せ持つこととされます。
・風雪に対する十分な抵抗力を持ち、寿命も長いという強さ。
・材木として加工した場合の材質の強さ。
・自然界に立つ樹相の美しさ、加工材木の木目の美しさ。
強さと美しさの両面を兼ね揃えたことが、日本国内において最も利用されてきた歴史に繋がっています。
また、ケヤキには多様な杢が入るため、その美しさと稀少性はケヤキ愛好家の収集の的となっており、価値普及に繋がっているのです。
色味は経年変化により、飴色に変化し、独特な艶やかさと豊かな表情を見せてくれます。
古民家の囲炉裏などで使われ、煤だらけになった表面も磨き直せば綺麗な表情が出てくるので、一生以上残る大切な家宝と成り得ます。
【欅(ケヤキ)の歴史】
室町時代以前は、ツキ(槻)と呼ばれていましたが、美しい木目が評価されるにつれて、『けや』=『際立って目立つ・美しい』といった意味の『けやけし』に由来し、『けやけき木』の略が『ケヤキ』の語源であろうと考えられています。 その後、室町時代以降から、ケヤキ(欅)と呼ばれるようになりました。
万葉集では7首に詠まれており、当時からその美しさや情緒風情は親しまれていたようです。
ケヤキが身近な存在だったのは、寺社仏閣の境内や庭先に防風用として植林されていたのがきっかけとも言われており、京都市の鴨川の堤防にはケヤキ並木があり、これは当時の町衆が自分達のお寺を洪水から守るため、自分たちで植林した名残とされています。
また、欅は鎌倉武士が好んでいたと史跡に残されており、豪快な木目や木肌、真っ直ぐと正々堂々とする木目や立ち姿が武士の心に惹かれたのではないかと言われています。
有名な建築物として、1633年に再建された国宝『清水の舞台(清水寺)』があり、約139本のケヤキの建材が使用されています。
1636年に建設された重要文化財「旧江戸城田安門」や「旧江戸城清水門」にも建材としてケヤキが利用されていますが、古来からケヤキはヒノキと並び、寺社仏閣や城郭建築等の大構築物には欠かすことが出来ない素材として重用されてきました。
山形県の東根の大ケヤキは、樹齢1500年で国指定特別天然記念物に指定されるほどの巨樹で、日本一のケヤキとして有名です。
【ケヤキの杢の種類】
◆玉杢(たまもく)
木の表面に玉が拡がる様を、玉杢と呼び、欅の玉杢は樹齢数百年経たないと表れないと言われています。 玉杢が出る場合には、木が乾燥中に反ることが多いので、注意が必要です。
◆泡杢(あわもく)
玉杢の中に、より小さな気泡や水泡のように見えるものを指します。 玉杢と同種と考えられていますが、樹皮側ではなく木の中心側に現れることが多いです。
◆虎杢(とらもく)
虎の背模様のような縞々が木の杢として現れる部分。 見る角度によって光沢もあり、凹凸があるようにも見えます。
◆如鱗杢(じょりんもく)
玉杢が幾つも重なっている模様のこと。魚の鱗のような見た目から、如鱗杢と呼ばれています。 玉杢に酷似していますが、分別して記述されることが多いです。
◆鯖杢(さばもく)
幹が二股に分かれるところに表れる杢のこと。 扇状に、波状が続くのが特徴です。
◆瘤杢(こぶもく)
木の表面に瘤があった箇所に表れる杢のこと。 丸に小さな点が幾つも拡がって景色になっています。 高級車のダッシュボードなどに使用されています。